石膏における練和方法の影響【vol.162】

石膏における練和方法の影響

 ある限度内において(最長120秒程度)で長く練和を行うと、硬化反応が均一に促進して、模型の精度と強度の向上につながります。
 操作性と諸物性を考慮すると60秒程度が望ましいとされていますが、これは、各石膏製品の諸物性の公表値というものが JISにて定められている60秒練和の値となっています。

 短時間での練和による石膏注入は、練和不足による強度低下によって模型の破折や、硬化遅延による模型印象面の荒れを招いてしまいます。
 又、石膏の練和泥も均一とはいかず、結果として不均一な硬化膨張につながって模型精度を損なう事になります。

 但し、60秒の手練和を実施する事は、負担が大きいと思われ、昨今では、石膏粉と水とのなじみもスムーズな製品も多くなり、以前と比べ短時間でも十分な練和も可能となっています。

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 ニュープラストーンⅡ混水比(0.23)における練和時間と強度の関係、強度測定は、 練和開始から1時間後に実施した。

 

 30秒程度で、60秒練和と同等の結果が得られる物もあります。
硬化体の寸法安定性、模型印象面、強度等の向上を求めるとすれば、最低でも30秒練和が望ましく、その結果、粉末の凝集がなくなり、凝集体から発する微小な気泡も減少し作業時間の短縮につながります。

アイディシーNEWS vol.162 2021年3月20日

各種石膏について【vol.160】

各種石膏について

 JIS規格を基にすると石膏模型は普通石膏、硬石膏、超硬石膏に大別されます。主原料として、α 半水石膏又は、 β 半水石膏の2種類から構成されています。

 α 半水石膏 ・・・・・硬質石膏、超硬質石膏

 β 半水石膏 ・・・・・普通石膏

 (双方とも化学式 CaSo₄ ・ 0.5H₂ O)

混水比

 メーカーの推奨している混水比は、臨床上の良好な練和性、操作性、好ましい硬化体が得られる水量に設定されています。
 普通石膏は粒子形状が不均一で多孔質の為、粒子が水を吸収し易く、その結果、混水比が大きくなります。
 硬石膏、超硬石膏は、粒子比表面積が小さいので、混水比が少なくなります。

普通石膏 0.4~0.5
硬石膏 0.23~0.25
超硬石膏 0.2

※ この混水比が硬化膨張、模型強度に関与してきます。

ISO6873;2013による石膏製品の分類、硬化膨張は、練和開始から2時間後の膨張値を測定する
  特徴 硬化膨張(%) 圧縮強さ(MPa)
最小 最大
タイプ1 普通石膏 印象用 0~0.15% 4.0 8.0
タイプ2 普通石膏 模型用 0~0.30% 9.0
タイプ3 硬質石膏 模型用 0~0.20% 20.0
タイプ4 硬質石膏 歯形用、高強度、低膨張 0~0.15% 35.0
タイプ5 硬質石膏 歯形用、高強度、高膨張 0.16~0.30% 35.0

アイディシーNEWS vol.160 2021年1月20日