支台歯における禁忌症例

支台歯における禁忌症例

 基本的に、鋭利な箇所が無く、アンダーカット等が無い状態が好ましくなります。
以下、例と共に注意すべき点を説明します。製作工程において、各設備、材料の特性上によって生じてしまう禁忌事項が多数あります。

(1)アンダーカット

 CAD/CAMシステムでは、アンダーカットはブロックアウトされるようになっています。
その結果、マージンと支台歯の間に隙間が生じてしまったり、マージンが開いてしまう可能性が生じてしまいます。

<単冠の場合 >

<連冠の場合 >

 
(2)Jマージン

 スキャニングの際に、マージンの鋭利な箇所は光が正確に反射されずにエラーを生じ易くなってしまいます。
またスキャニングが出来たとしてもマージンの鋭利な箇所が短く丸くなってしまい、完成した補綴物を模型に合わせても良好な適合が得られない事が多くなります。

 

アイディシーNEWS vol.165

ジルコニアについて

歯科におけるジルコニア

 補綴物の溶出成分が関係しているアレルギーとして広く知られているのが金属アレルギーになります。
ニッケル、水銀、パラジウム等が広く知られています。
 近年では、全く金属を使用しない補綴物も幅広くでてきています。

 ジルコニアは「ホワイトメタル」と呼ばれていた事により、金属と誤解される事もありますが、ジルコニウム酸化物の焼結体であり、セラミックスに分類されます。
 無機物を焼き固めた焼結体であるセラミックスは、非常に安定した化学構造を有しているので、材料成分の溶出は極めて低いと考えられています。

 

ジルコニアとポーセレンとの比較

 従来のポーセレンでは、金属の裏装が必要であったため、主に唇側、頬側面での金属色の透過という問題がありました。
また咬合面でのクリアランス不足の際も、頬側のみのポーセレン層で、咬合面は金属が露出してしまうという事もありました。
ジルコニアは、高強度という事や、元々、白色という事で、これらの問題に対応する事が可能となりました。

 

アイディシーNEWS vol.164 2021年5月20日

硬化促進材の添加の影響

硬化促進材の添加の影響

 一般的には硬化時間の短縮の為に塩(NaCl)や二水石膏(石膏スラリー)の使用が知られています。
但し、これらの使用は場合によっては硬化促進が期待できないのみならず、石膏自体の諸物性に悪影響を与える可能性もでてきます。

(1)塩(NaCl)の使用

 効果的に硬化促進するのは、硬化膨張が0.20%よりも大きな石膏に限られます。
低膨張の超硬石膏では、逆効果となり、硬化が遅延してしまいます。
これは元々、硬化膨張を抑制する様々な無機塩が予め含まれており、他の塩類による促進効果が期待できないためによるものです。そればかりか、硬化遅延を起因とする対印象模型面の荒れを起こしてしまう可能性があります。

(2)二水石膏(石膏スラリー/模型の削り粉)

 効果的に硬化促進は作用しますが、結晶核の増加は著しく、硬化膨張は増加してしまいます。
これは石膏スラリーを結晶核として、微細な二水石膏の析出により硬化時間が短くなり、硬化膨張が増加する事によります。
つまり石膏スラリーの濃度粒子径等の不均一な要素によるもので、安定して同じ精度を必要とする場合には不向きな事となってしまいます。
スラリー添加による、硬化膨張/硬化時間の影響は、最も調整材の含有率の低い普通石膏に顕著に現れてきます。

 
硬石膏(ニュープラストーンII、左図)、および同硬石膏に石膏スラリーを約1%添加して練和した石膏硬化体(右図)のSEM(走査型電子顕微鏡)像の比較(1000倍)。

 硬石膏(ニュープラストーンII、左図)、
および同硬石膏に石膏スラリーを約1%添加して練和した石膏硬化体(右図)のSEM(走査型電子顕微鏡)像の比較(1000倍)。
 右図では石膏スラリーを結晶核として微細な二水石膏の析出が見られ、空間が満たされている。
 その結果、硬化時間は短くなり、硬化膨張は増大する。

 
各石膏製品における、石膏スラリーと硬化膨張の関係(左)、硬化時間の関係(右)
 

アイディシーNEWS vol.163

石膏における練和方法の影響

石膏における練和方法の影響

 ある限度内において(最長120秒程度)で長く練和を行うと、硬化反応が均一に促進して、模型の精度と強度の向上につながります。
 操作性と諸物性を考慮すると60秒程度が望ましいとされていますが、これは、各石膏製品の諸物性の公表値というものが JISにて定められている60秒練和の値となっています。

 短時間での練和による石膏注入は、練和不足による強度低下によって模型の破折や、硬化遅延による模型印象面の荒れを招いてしまいます。
 又、石膏の練和泥も均一とはいかず、結果として不均一な硬化膨張につながって模型精度を損なう事になります。

 但し、60秒の手練和を実施する事は、負担が大きいと思われ、昨今では、石膏粉と水とのなじみもスムーズな製品も多くなり、以前と比べ短時間でも十分な練和も可能となっています。

img162-201

 ニュープラストーンⅡ混水比(0.23)における練和時間と強度の関係、強度測定は、 練和開始から1時間後に実施した。

 

 30秒程度で、60秒練和と同等の結果が得られる物もあります。
硬化体の寸法安定性、模型印象面、強度等の向上を求めるとすれば、最低でも30秒練和が望ましく、その結果、粉末の凝集がなくなり、凝集体から発する微小な気泡も減少し作業時間の短縮につながります。

アイディシーNEWS vol.162 2021年3月20日

各種石膏について

各種石膏について

 JIS規格を基にすると石膏模型は普通石膏、硬石膏、超硬石膏に大別されます。主原料として、α 半水石膏又は、 β 半水石膏の2種類から構成されています。

 α 半水石膏 ・・・・・硬質石膏、超硬質石膏

 β 半水石膏 ・・・・・普通石膏

 (双方とも化学式 CaSo₄ ・ 0.5H₂ O)

混水比

 メーカーの推奨している混水比は、臨床上の良好な練和性、操作性、好ましい硬化体が得られる水量に設定されています。
 普通石膏は粒子形状が不均一で多孔質の為、粒子が水を吸収し易く、その結果、混水比が大きくなります。
 硬石膏、超硬石膏は、粒子比表面積が小さいので、混水比が少なくなります。

普通石膏 0.4~0.5
硬石膏 0.23~0.25
超硬石膏 0.2

※ この混水比が硬化膨張、模型強度に関与してきます。

ISO6873;2013による石膏製品の分類、硬化膨張は、練和開始から2時間後の膨張値を測定する
  特徴 硬化膨張(%) 圧縮強さ(MPa)
最小 最大
タイプ1 普通石膏 印象用 0~0.15% 4.0 8.0
タイプ2 普通石膏 模型用 0~0.30% 9.0
タイプ3 硬質石膏 模型用 0~0.20% 20.0
タイプ4 硬質石膏 歯形用、高強度、低膨張 0~0.15% 35.0
タイプ5 硬質石膏 歯形用、高強度、高膨張 0.16~0.30% 35.0

アイディシーNEWS vol.160 2021年1月20日

チタンについて(まとめ)

チタンについて(まとめ)

 2020年6月より、チタンクラウン(大臼歯のみ)が保険対象となりました。
(株式会社ニッシン純チタン2種)チタンには、1~4種とありますが、2種は、加工性と強度とのバランスが良く、多用されています。

チタンの物理的特性及び、硬さの比較
  • 比重   4.5 (金合金の1/4、Co-Cr合金の約1/2)
  • 融点   1,668℃
  • 結晶構造 六方晶系
• 14K金合金 160(軟化後) 273(硬化後)
• 16K金合金 170(軟化後) 285(硬化後)
• 18K金合金 160(軟化後) 285(硬化後)
• 白金化金 170(軟化後) 300(硬化後)
• 金銀パラジウム 165(軟化後) 280(硬化後)
• 陶材焼付用合金 150~200(焼成後)
• 銀合金 170
• コバルトクロム合金 324
• チタン(2種) 110以上
研削性と研磨性

 アズキャストの鋳造体の表面には、厚い酸化層があり、硬度は200HVになりますが、表面を一層削除した内部は150HV程度となります。
これは、金合金のタイプⅢ、Ⅳに相当します。

 通常のホイールでは、研磨効率では悪く、熱拡散効率が低く、化学活性度が高くなります。
その為、研磨剤である炭化ケイ素やアルミナ等の砥粒との親和性が大きいので、研磨温度が上昇し効率が低下してしまいます。

 その結果、化学的に安定し、熱伝導率の大きいタイヤモンドホイールや、ダイヤモンドペーストを用いての研磨が有効になります。

アイディシーNEWS vol.158 2020年11月20日

チタンの諸性能について

チタンの諸性能について

チタンの特性
  1. 融点
     チタンの純度により、多少の差はできますが、一般的には1,670℃前後と非常に高くなっています。
  2. 酸化や酸素の固溶
     高温での酸素との親和性が非常に高く、鋳造体表層に強固な反応層が形成されます。
    その結果、酸素を多量に固溶し、強く硬くはなるが、伸びが減少して脆くなってしまいます。
    但し、この反応層を除去すれば、内部は金合金のタイプ III、IVの硬さに相当します。
  3. 比重
     比重は4.5と非常に軽く、金合金の1/4、Co‐Cr合金の約半分程度となります。
  4. 耐食性
     酸素の存在する環境では、表面に緻密で安定な不働態被膜を形成し、 この薄膜の安定により、金合金に匹敵する高い耐食性を持つ事になります。
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チタン鋳造体のアズキャストの状態
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臨床例:口腔内に装着されたチタン鋳造冠

アイディシーNEWS vol.156 2020年9月20日