金属系材料、国際規格と材料の選択【vol.175】

金属系材料、国際規格と材料の選択

 2006年に、固定性及び可撤性修復物・装置用金属材料に関する国際規格(ISO22674)が制定されました。これにより従来の個別の合金に関する規格が廃止されたので、用途と物性の関係で材料の使用が明確になりました。

     この規格では、
  1.  カドミウム、ベリリウムは0.02%以上含んではいけない。
  2.  0.1%以上のニッケルを含む場合は含有量を明示するなど、毒性・為害性からの要求事項が重視。
  3.  耐食性については、全ての金属材料で200μg/cm2・7day以下の溶出量。
  4. などと規定されています。
    従って、安全性と耐食性が担保されれば、貴金属系合金も非貴金属系合金も同じ様に使用できる事になります。
<規格の物性では「耐力」「伸び」「弾性係数」が規定されています>
  • 耐力 → 金属は、靭性があるので、荷重を負荷して変形させると、弾性変形から塑性変形を経て破断する。塑性変形領域に移行する応力が耐力となる。
  • 伸び → 破断までの永久変形量を示す。

※ 構造材料として大きな荷重に耐える為には耐力が大きい事が要求されます。また伸びが一定以上ある事は破壊に対しての安全につながり、弾性係数が大きい材料は装置を薄くする事ができます。

補綴装置用金属材料の分類(ISO 22674,2006年)
タイプ 臨床用途 耐力
(MPa)
伸び
(%)
弾性係数
(GPa)
1 負荷のかかる単一歯固定性修復物
例)単純窩洞のインレー,ラミネートべニア,クラウン
80 18  
2 単一歯固定性修復物
例)インレー,クラウン
180 10  
3 複数歯固定性修復物
例)ブリッジ
270 5  
4 高負荷のかかる薄断面装置
例)可撒性義歯床,クラスプ,薄い被覆冠,ロングスパンブリッジ,連結部が小断面のブリッジ,バー,アタッチメント,インプラント上部構造
360 2  
5 高い剛性と強さが必要な装置 500 2 150
  • 金銀パラジウム合金は、熱処理硬化性を有しているので、タイプ2~4をカバーしています。
  • コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金は、弾性係数の縛りがあるので、タイプ5の薄いフレームや、金属床に 使用されます。
  • チタンは、工業材料として、不純物を極少量含んだ純チタンが1種から4種まで分類されており、その内の2種が広く利用 されています。歯科用インプラントや、近年、保険収載 されたインゴットも、2種相当品で、これはISOのクラス2~3程度になります。
 

アイディシーNEWS vol.175